今年のノーベル医学・生理学賞は東京工業大学栄誉教授である大隅良典先生が受賞されました。その研究内容は「オートファジー」についてということですが、恥ずかしながら、私自身不勉強でオートファジーのことは良く知りませんでした。
オートファジーは「細胞が持つ、自らの一部を分解して再利用するシステム」のことだそうです。この研究が注目されているのは、現在有効な治療がない疾患に対しての新しい切り口になるかもしれないということからです。そのひとつに「NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)」があります。脂肪の摂り過ぎによって、オートファジーを抑制するタンパク質が肝臓で増えると脂肪肝が悪化することが分かり、このたんぱく質の増加を抑える薬剤が開発されれば、非アルコール性脂肪肝(NASH)や肝癌の発症を抑えられるのではないかという発表もありました。
残念ながら、この薬剤が使えるようになるまではまだまだ時間がかかると思いますので、今年のドックなどで脂肪肝が指摘された方は、まずは減量に努めましょう。超音波検査や血液検査で脂肪肝やNASHの進行を調べることもできますので、心配な方はご相談ください。