院長コラム

2017.03.03

ストレスと胃腸障害

3月、4月は卒業や入学、就職、転勤、転居など人生にとって重要なイベントが起きる季節ですね。そのようなタイミングで胃や腸の不調を訴える方が多く医療機関を受診されます。症状にあわせて内視鏡などの検査を行うのですが、異常を認められないことも多くあります。このような明らかな異常がないのに消化器症状が現れる病気が「機能性胃腸障害」といわれるものです。

「胃が痛い」「胃がムカムカする」「お腹が張る」「食事をするとすぐに満腹になる」などの症状があるのに胃カメラや腹部エコーを行っても異常がみられないのものを”機能性ディスペプシア”といいます。また、「便秘・下痢の排便異常」「腹痛やおなかの不快感」が続くのに大腸内視鏡や腹部CTなどの検査では異常が認められないものを”過敏性腸症候群”といいます。ともにストレスが大きく関与しているといわれており、治療としては対症療法が主となります。

数種類の内服薬があるので、患者さんの症状にあわせて何種類かの薬を組み合わせて処方するのですが、その方にぴったり合う処方を探すのに時間がかかることもありますが、患者さんと主治医とで根気強く治療に当たることが大事だと思います。近日、過敏性腸症候群の「便秘型」に対する新薬が発売されます。医学も日々進歩していますので、思い当たる症状がある方はぜひ相談してください。ただ、自分で「機能性胃腸障害」と思い込むと本来の病気の診断が遅れることもありますから、きちんと検査を受けて、重大な病気がないことを確認することが大事です。