今度”潰瘍性大腸炎”の治療薬として使用できる薬が増えることになりました。「シンポニー」という注射薬です。潰瘍性大腸炎は現在の日本の総理大臣でもある安倍首相が患っていることでも知られる難病ですが、患者さんは増加傾向で現在は16万人以上いるといわれています。そういう病気なので治療の選択肢が増えることは、患者さんにとっても、我々消化器を診る医師にとってもありがたいことです。
潰瘍性大腸炎の症状としては慢性的な下痢や血便、腹痛などがありますが、当初は症状からだけでは診断がつきにくいこともあります。特に、ストレスが引き金になって起きる”過敏性腸症候群”と区別がつきにくいこともあり、実際に長く過敏性腸症候群と診断されてきましたが、あらためて大腸内視鏡検査を受けてみて初めて潰瘍性大腸炎と診断がつく方もいらっしゃいます。今の時期は就職や進学など大きく環境が変わったせいでお腹の調子が思わしくない方も多いかと思います。単なる下痢と思わず、症状が続く方は一度消化器の専門医に相談することをお勧めします。きちんと診断することが正しい治療にも繋がります。