これから忘年会などの飲酒の機会が増えることと思います。寒くなってきたし、温かいおでんや鍋物と飲むビールは美味しいですよね。でも、そういえばこの前の健診で肝機能が引っかかって飲み過ぎないように言われている、という人も多いと思います。今までも適度の飲酒は健康にもいいと言われてきました。その主な理由としては、ストレスを和らげたり、食欲増進効果が見られる、などというものでした。ただ、当然飲みすぎれば健康を害することは皆さんご存知のとおりです。
肝臓に負担をかけることは当然として、メタボリックシンドロームに関わる高血圧・高コレステロール血症・糖尿病には、お酒の飲みすぎが関与している場合が多数見られます。とても痛い痛風発作を引き起こす原因にもなります。そして先日、米国臨床腫瘍学会(ASCO)はアルコール摂取は、中咽頭がん、喉頭がん、食道がん、肝細胞がん、乳がん、結腸がんの原因として関連、また、膵臓がんおよび胃がんを含むその他のがんのリスク因子である可能性があり、全体として、世界における新規のがん発症およびがんによる死亡の5~6%がアルコールに直接起因する、と発表しました。「控えめな飲酒量であってもがんリスクが増加する可能性があるが、最も大きなリスクが認められたのは長期の大量飲酒であった」ということです。
要はタバコほど健康に悪いということではないので、禁煙と同じレベルで厳格に禁酒を勧めるわけではないが、“がんのリスクを減らしたいならば飲酒量を減らし、そして飲酒していないならば、飲酒を開始してはならない”というものです。結局はアルコールもガンのリスクになりますよ、だから飲み過ぎないほうがいいですよ、飲酒量を控えることはガンの予防につながりますよ、ということです。以前から言われていたような・・・??
ちなみに適度な飲酒とはどれくらいか御存知でしょうか?厚労省が推進する「健康日本21」によると1日平均純アルコールにして約20g程度であるとされています。とはいえ、お酒に弱い人、女性や高齢者であれば、この基準よりも少なめを適量と考えるべきでしょう。純アルコール(g)=〔飲酒量(mL) ×アルコール濃度 ÷100× 0.8〕です。
私自身もお酒は好きなので、言い訳を探すと、デンマークで糖尿病リスクの最も低い飲酒パターンは、男性は週14ドリンク、女性は週9ドリンクで、非飲酒者に比べて40-50%の糖尿病のリスクが低下したとの報告がありました(1ドリンク=純アルコール10g)。日本人は違うかもしれませんね・・・。
要は、一日の酒量を抑え目に、そして、休肝日を作ることが長くお酒を楽しめることになるのではないかと思います。