厚労省によると2018年の食中毒の原因の第1位は、なんと「アニサキス」でした。
ここ最近ニュースでも目にすることが多くなったアニサキスですが、ここ数年食中毒の報告が増加傾向で、2018年は468件(患者数478人)で、前年の230件(同242人)から約2倍に増えたとのことです。今まではニワトリなどの生肉にいる細菌カンピロバクターが原因の第1位でした。そして、これまでサバやイカ、サンマを食べたことによる感染が多かったのですが、18年はカツオによる件数が前年比10倍の100件(同103人)に増えていました。今までは腹痛を訴える人にイカやサバを食べたかを聞くことが多かったのですが今後はカツオも確認しないといけませんね。当クリニックがある埼玉県は海がありませんが、それでも毎年数例ののアニサキスを経験します。患者さんの話とエコー検査から胃アニサキス症を疑い胃カメラを行うと胃の中にアニサキスを発見、そのまま器具でつまんで除去します。予防策としてはとにかく生きているアニサキスを食べないことに尽きます。誰も好きで食べるわけではありませんが、処理を誤ると美味しい刺身を食べた後に痛い思いをすることになります。特に誤解されていることが多いのは酢で〆るとアニサキスは死ぬというものです。これは誤りで、しめ鯖でも感染します。
実際、当院でも最近、しめ鯖を食べて感染したアニサキス症を経験しています。アニサキスは幼虫(体長2~3センチ)は魚介類の内臓に寄生しており、鮮度が落ちると筋肉に移動しやすくなり、その身を生で食べると、数時間後から激しい腹痛や嘔吐(おうと)などの症状が出ることになります。なので、理論的には超新鮮な状態で内臓を処理した刺身でない限り、刺身を食べれば感染する可能性はあるということです。良く噛めば防げるかもしれませんが・・・
アニサキス症を予防する方法として厚労省は以下のものを挙げています。
• アニサキスは加熱又は凍結により死滅するので、中心部まで十分加熱するか、中心部まで完全に(マイナス20℃で24時間以上)凍結すること。
• 内臓の生食をしないこと。
• 魚介類を生食する際には、より新鮮なものを選び、早期に内臓を除去し、低温(4℃以下)で保存すること。
• 魚を生食用に調理する際にはアニサキスを意識して、魚をよく見て調理すること。特に、内臓に近い筋肉部分(ハラス)を調理する際は注意すること。
• アニサキスは、傷を受けると胃や腸壁への侵入性が著しく低下するので、なめろう等を調理する際は細かく刻むこと。
それでも痛くなり、思い当たることがあるときには消化器科を受診してください。