現在、令和初の特定健診 が行われていますが、対象の方はもう健診は受けられたでしょうか?
特定健診の目的は生活習慣病の早期発見・早期介入です。ひいては、生活習慣の改善による発症の予防や早期治療を行うことで脳心血管病を未然に防ぐことが目的です。生活習慣病の中で最も患者数が多いのが高血圧、そして脂質異常症、糖尿病と続きます。日本では高血圧患者は4300万人いると言われているため3人に1人が高血圧ということになります。そして、最近話題になったのは高血圧の分類が変わったことです。130mmHg以上は高血圧などと言われていますが、正確には“高血圧”と診断されるのは140mmHg以上という基準値は変わっていません。ただし「正常血圧」は120mmHg未満であり、130〜139mmHgは「高値血圧」と呼ばれるようになったことが新しい変化です。「高値血圧」の方はすぐに降圧剤を開始するわけではありません。脳心血管病のリスクが高い方は治療を開始しますが、リスクがなければ生活習慣の改善で降圧を目指すことになります。この新しいカテゴリーを増設したのは、130mmHgを超えれば、もはや正常とは言えない血圧であるということを自覚し、多くの人に生活習慣改善に取り組んでもらうのが狙いです。
脳心血管病高リスク患者の基準
・脳心血管病既往
・非弁膜症性心房細動
・糖尿病
・蛋白尿のある慢性腎臓病(CKD)
・「65歳以上・男性・脂質異常症・喫煙」のうち3項目以上に該当
さらに変わったのは治療目標ですが、こちらは一段階厳しくなりました。
ある研究から、厳格に血圧をコントロールしたグループで心血管および脳卒中イベントリスクが有意に低かったことが示されたため、降圧目標を130/80mmHgとするメリットが明らかになりました。75歳以上の高齢者の降圧目標は140/90mmHg未満とし、JSH2014での目標150/90mmHgよりも強化。さらに、併存疾患などによって降圧目標が130/80mmHg未満とされる条件に合致した場合、高齢者でも可能であれば130/80mmHg未満への降圧を目指すことになります。これらの血圧は診察室血圧のため、家庭で測る血圧だと、さらに5mmHg低くなることに注意してください。
自分は大丈夫と思っていても、いつの間にか高血圧になっているという方が大勢いらっしゃいます。ぜひ令和初の健診を受けて、生活習慣を見直すきっかけにしましょう。