院長コラム

2019.12.12

「大腸がんは防げます」

この12月で当院が開業して丸4年となりました。当院のことを皆様にも知っていただけるようになり、また、ささやかでも地域の皆様の健康管理に貢献することができたことをうれしく思っています。今後も皆様に信頼されるよう努めていきたいと思います。

ところで、皆さんは今年のがん検診は受けられましたか?内視鏡メーカーのオリンパスの調査によると、国が指針として定める5つのがん検診において女性特有のがんである乳がんと子宮頸がんは女性の多くが検診を受けているのに対し、胃がん、大腸がん、肺がんに関しては女性の受診率は男性より10ポイント以上少ないとのことです。大腸がんは、発生したポリープが徐々に大きくなる段階でがん化するという説が有力であり、定期的に大腸内視鏡検査を施行し、ポリープがあった場合は切除することで大腸がんを予防できる可能性が指摘されています。実際にアメリカでは小さいポリープでもすべて切除しクリーンコロン(きれいな大腸)にすることで大腸がんの死亡者数は減っています。最近のノルウェーでの50-79歳の男女を対象にした研究でも、15年間の追跡期間中、1000人当たりの大腸がん発症率低下度は大腸内視鏡検査で10人、年1回の便潜血検査だと4人、隔年の便潜血検査では1人と、やはり大腸内視鏡検査を受けることで大腸がんが予防できる可能性が高いとされました。ちなみに、この便潜血検査はあくまでも大腸がん検査であって、これが正常でもポリープもないということではなりません。ポリープの有無は正直、大腸内視鏡検査でしか分からないので、今まで便潜血検査で引っかかったことがない人も、一度は大腸内視鏡検査を受けることをお勧めします。

大腸内視鏡と聞いて「大変そうだからやりたくない」という気持ちが働くのは仕方がありませんが、「自分は痔があるから」と言って、何でも痔のせいにしようとするのは危険です。痔もあるかもしれませんが、大腸にも病気があるかもしれないからです。内視鏡を専門とする私にとって、大腸がんが増えているこの傾向はいつも大変残念に思っています。内視鏡を苦しい検査に思わせたわれわれ医師にも責任はあるとは思いますが、検査機器も検査方法も進歩しています。”令和”になったことですし、今までの逃げ腰だった自分は平成と一緒に終わりにして、新しい積極的ながん予防の時代としましょう!!

「大腸がんは防げます」