院長コラム

2020.01.23

「新型肺炎」と今年のインフルエンザ

下のグラフにあるように、今年は現時点で例年に比べてインフルエンザ患者が少なかったため、あまりニュースになりませんでした。流行の立ち上がりが早かったため、大流行が心配されましたが結果的には例年より落ち着いている状況です。

インフルエンザ

それより今は中国の武漢で発生した、いわゆる新型コロナウイルス関連肺炎(2019-nCoV肺炎)のニュースで報道はもちきりの状況です。特にヒト―ヒト感染が確認されてからは、今後の大流行に備えることも重要と思われます。日本でもこのウイルスの感染患者が国内ではじめて確認されたと厚生労働省が発表しました。中国以外で確認された患者は、タイに次いで2例目です。今回、日本で確認された患者さんは、1月3日から発熱があり、1月6日に中国武漢市から帰国、同日、医療機関を受診。1月10日から入院、1月15日に症状が軽快し退院となりましたが検査の結果、1月15日夜に新型コロナウイルス陽性が確認されたという経緯です。厚労省は、今回の事例を踏まえ、以下のメッセージを発表しています。

国民の皆様へのメッセージ

 新型コロナウイルス関連肺炎に関するWHOや国立感染症研究所のリスク評価によると、現時点では本疾患は、家族間などの限定的なヒトからヒトへの感染の可能性が否定できない事例が報告されているものの、持続的なヒトからヒトへの感染の明らかな証拠はありません。風邪やインフルエンザが多い時期であることを踏まえて、咳エチケットや手洗い等、通常の感染対策を行うことが重要です。
 武漢市から帰国・入国される方におかれましては、咳や発熱等の症状がある場合には、マスクを着用するなどし、速やかに医療機関を受診していただきますよう、ご協力をお願いします。なお、受診に当たっては、武漢市の滞在歴があることを申告してください。

要は、
〇風邪が流行する時期なので、単なる風邪やインフルエンザの可能性が高いから慌てない
〇どんなウイルスであれ、予防の基本は手洗い・うがい、外出時のマスクの着用などであることは変わらない
〇下記の要件に当てはまり、発熱等の症状があるときは医療機関受診時に必ず申告してください
(ア)新型コロナウイルスの患者(確定例)、またはその疑いがある患者との接触
(イ)武漢市への渡航歴
(ウ)「武漢市への渡航歴があり、発熱かつ呼吸器症状を有する人」との接触
ということです。この時期に不要不急の案件で中国に行く方はいないと思いますが、状況が落ち着くまでは自粛したほうがよいでしょう。