院長コラム

2020.02.12

新型肺炎は「COVID-19」

今もテレビをにぎわせている新型肺炎ですが、WHOが原因ウイルスをCOVID-19と命名したとのことです。これは、以前”スペイン風邪”や”豚インフルエンザ”という名前から特定の地域や動物が誤解に基づく偏見を持たれないようにとの配慮からです。今なら、”中国―”などの名前が付けば、欧米の方から見れば区別のつかない私たち日本人も今以上の偏見の対象になる可能性もあったかもしれませんから、よかったように思います。あくまでも悪いのは病気であり、動物や地域ではありませんから―。
この肺炎に対し、一般国民向けにSTOP感染症戦略会議がまとめた次の緊急提言が行われました。

新型肺炎対策「STOP感染症・7つの約束」
1.正しく恐れる
2.ウイルスや菌の顔と性格を知る
3.新生活習慣をつくる
4.最新の対策技術にも目を向け情報収集する
5.喉元過ぎても熱さを忘れない
6.新型肺炎以外の感染症にも目を向ける
7.防災用品だけでなく、感染症対策用品も備蓄を

そして、
グローバル化が進む中において水際で封じ込むのは不可能なので普段の生活の中で感染症対策を徹底することが大事
新型コロナウイルスの感染経路の90%以上は飛沫と接触によるもので、『エアロゾル感染』もあるかもしれないが、それほど大きなものではない
感染リスクを減らすために手を触れやすいドアノブや手すり、テーブルなどをしっかり除菌して環境衛生を保つことが大切で、そうすることにより二次的な接触感染を防ぐことができる
とも述べています。
 現状ではこのウイルスに対する特効薬はなく、抗エイズウイルス薬や抗インフルエンザ薬が効いたという情報もありますが定かではありません。ただ、日本では集中治療室などの環境が整備されていることもあり、国内の発症者は武漢市のように重症化してはいませんし、SARSよりは死亡率が低いとされています。糖尿病、慢性の肺疾患、慢性の心疾患、関節リウマチなどでステロイド薬を服用している患者、がん患者、病院で高度な医療を受けている患者、高齢者については感染すると重症化のリスクが高まる可能性があるといわれていますが、これもインフルエンザと同じです。現状ではインフルエンザによる死者のほうが多く、アメリカで流行しているB型インフルエンザが日本でも流行期に入りつつあり、外来でも散見されるようになりました。コロナウイルスであれ、インフルエンザウイルスであれ、感染予防の原則は同じであり、必要以上ではなく、正しく恐れることが大事です。
しかし、現状のマスク不足は困ったもので、医療現場でも問題になっています。これから花粉症の季節にもなりますし、必要以上に買い占めたり、高額の転売などは慎んでもらいたいものです。必要な方に届くことを切に願っています。