院長コラム

2020.07.06

CDCのガイドラインの更新

6月25日、米国疾病予防管理センター(CDC)は新型コロナウイルス感染時の重症化リスクに関するガイドラインを更新しました。CDCは、重症化リスクの高い要因として「高齢者」「基礎疾患を持つ人」の2つを挙げ、また、今回からリスクを高める可能性がある要因として、妊娠を追加しました。日本では、アメリカと異なり重症化の可能性が低いため、まったく同じと言うわけにはいきませんが、逆に患者数が多いことから傾向を掴みやすいともいえるため、参考にはなるかと思います。

【重症化リスクが高くなる基礎疾患】
・慢性腎疾患
・慢性閉塞性肺疾患(COPD)
・臓器移植による免疫不全状態(免疫システム減弱)
・肥満(BMI:30以上)
・心不全、冠動脈疾患、心筋症などの深刻な心臓疾患
・鎌状赤血球症
・2型糖尿病

【重症化リスクが高くなる可能性がある基礎疾患】
・喘息(中等度~重度)
・脳血管疾患(血管と脳への血液供給に影響を与える)
・嚢胞性線維症
・高血圧または高血圧症
・造血幹細胞移植、免疫不全、HIV、副腎皮質ステロイド使用、他の免疫抑制薬の使用による免疫不全状態
・認知症などの神経学的状態
・肝疾患
・妊娠
・肺線維症(肺組織に損傷または瘢痕がある)
・喫煙
・サラセミア(血液疾患の一種)
・1型糖尿病

日本では患者さんの少ない疾患も含まれているため、今まで報告されている疾患と大きくは変わっていません。アメリカでは65歳以上が死亡者の8割以上を占めることから、高齢であることがリスクであることは日本と同様です。
そして、上記の基礎疾患を持つ人は高齢者同様下記のような感染予防対策をとるほか、疾患治療を中断しないことを推奨しています。

【感染予防対策】
・他人との接触を避け、やむを得ない場合は手洗い、消毒、マスク着用などの感染予防策をとる。
・疑い症状が出た場合は、2週間自宅に待機する。
・イベントは屋外開催を推奨、参加者同士で物品を共有しない。
・他疾患が進行することを防ぎ、COVID-19を理由に緊急を要する受診を遅らせない。
・インフルエンザ、肺炎球菌ワクチンを接種する。

正直、提示された予防対策は目新しいものはありません。日本で従来から行われている手洗いやマスクに加え、持病の管理、他疾患の予防ということでのワクチン投与などです。
結局、不要不急などの言葉に惑わされず、きちんと定期的通院、内服をすることで健康管理をすることが重症化を防ぐ手段ということです。そして、重症化のきっかけを防ぐために他疾患用のワクチン接種をすることも推奨しています。肺炎球菌ワクチンはアメリカでは日本でも用いられているニューモバックスを5年ごとの接種に加えてプレベナーの併用が推奨されています。日本でも肺炎球菌の接種年齢以外の方はプレベナーを接種するのも良いと思います。
また、今の日本であれば、熱中症で体力を消耗することも感染や重症化のきっかけになると思われますので、熱中症にはご注意ください。