院長コラム

2020.07.27

中年期の肥満が認知症リスク

中年期に肥満だと、認知症の発症リスクが高くなる可能性のあることがイギリスから報告されました。50歳以上で認知症のなかった6,582人を追跡した調査で453人(6.9%)の参加者が認知症を発症しましたが、研究開始時に肥満であった人は標準体重の人に比べて、認知症発症リスクが31%高いことが明らかになりました。特に顕著に現れたのは中心性肥満の女性で、腹囲が正常であった女性と比べて認知症リスクが39%いという結果でした。また、米アルツハイマー病協会のディレクターを務めるKeith Fargo氏は、「アルツハイマー病の研究において、糖尿病、肥満、高血圧などの心臓の健康のリスク因子と、認知機能低下および認知症との関連は、十分に調べられている。今回の研究結果により、肥満と認知症発症リスクとの関連に関するエビデンスが一つ加わった」と説明しました。今回の研究における肥満とはBMI【BMI=(体重)÷(身長(m))÷(身長(m)で計算される】で分類されたもので、標準体重(18.5~24.9kg/m2)、過体重(25~29.9kg/m2)、肥満(30kg/m2以上)とされています。日本でもBMI25以上で1度肥満、30以上で2度肥満とされています。また、腹囲では、女性は88cm以上、男性では102cm以上を中心性肥満と定義しており、日本の女性は90㎝以上男性85cm以上とやや異なります。ただいずれにしても、肥満、腹囲、糖尿病、高血圧といったものは日本でもメタボリック症候群の診断基準として定義されています。このメタボリック症候群は、心筋梗塞や脳卒中などの寝たきりの原因となる心血管疾患を引き起こすといわれているため、特定健診などで早期発見、早期治療介入を行うようになっています。

今回の研究ではメタボリック症候群は間接的に認知症の原因となるだけでなく、直接的にも認知症の原因となることを示唆されています。今まで受けてこなかった方も、毎年受けている方も、ぜひ特定健診を受けてください。
当院でも、8月1日から、白岡市・久喜市・蓮田市・宮代町の対象の方が健診を受けられます。ご希望の方は予約のお電話をお願いいたします。