新型コロナウイルスの2回目の接種を既に終えられた方も増えてきていると思いますが、自分自身がきちんと抗体を獲得できているか気になるところだと思います。
千葉大学からの報告では
・男性より女性が抗体価が上がりやすい
・年齢が若い方が抗体価が上がりやすい
・1回目と2回目の接種間隔が長い方が抗体価が上がりやすい
・抗アレルギー薬の内服があると抗体価が上がりやすい
・免疫抑制薬の内服があると抗体価が上がりにくい
と報告されていますが、自分はどうかと気になると思います。そこで、当院でも抗体検査を導入することとしました。今までの抗体検査はコロナウイルスに感染したことがあるか調べるIgG(N)抗体検査でしたが、今回導入したものはIgG(S)抗体検査です。
検査方法 | 使用目的 |
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IgG(S)抗体検査(スパイクタンパク抗体) | ワクチン接種後の中和抗体が産生されたか調べる |
IgM抗体検査 | 現在、ウイルスが体内に存在するか調べる |
IgG(N)抗体検査 | 過去、ウイルスが体内に存在したか調べる |
スパイクタンパク質(S)に対する抗体とは
現在接種されているファイザー社のものもモデルナ社のものもmRNAワクチンであり、このタイプのワクチンは、ウイルスの表面に存在するスパイクタンパク質(S)に対する抗体を誘導することで、COVID-19の発症予防効果を発揮します。このスパイクタンパク質(S)に対する抗体が、ワクチン接種後の免疫獲得を示す良い指標であると考えられています。
スパイクタンパク抗体(中和抗体)検査をおすすめする方
・過去に新型コロナに感染したかどうかはっきりせず、ワクチンを接種すべきかどうか迷っている方。
※過去に新型コロナに感染していても、WHOはワクチン接種を推奨しています。
・ワクチン接種後に副反応がない、もしくは弱かったため、ワクチンの効果が心配な方。
・1回目のワクチンで副反応が強く、もう抗体がついているのか確認したい方。
※ワクチンは2回の接種が推奨されています。
・ワクチン接種後の自分の抗体価を確認したい方。
・免疫を抑制する薬・治療(ステロイドなど)をしていて、抗体がついているか心配な方。
スパイクタンパク抗体(中和抗体)検査はいつ受ける?
・ワクチン接種後28日目以降が目安です
スパイクタンパク抗体(中和抗体)がどれくらいあればいい?
ウィルス量を50% まで減少させることを確認する培養細胞での試験(プラーク減少中和試験(PRNT))では、4160AU/mlあれば95%の確率で高力価とされていますが、それ未満であっても中和活性が認められないというわけではありません。
ただし、ヒトの体内でどれだけの抗体価があれば、発症や重症化予防に十分であるかは明らかになっていません。
今回の検査では50AU/ml以上であれば【陽性】と判定されます。
スパイクタンパク抗体(中和抗体)はいつまで残る?
国立国際医療研究センターから2回目接種後7日の時点が最も高く、2カ月で平均41%に3カ月で25%に減少する可能性が報告されていますが、その時点でも4160AU/ml以上あることから十分に抗体が産生されている可能性が高いと考えられます。
注意事項
・スパイクタンパク抗体(中和抗体)が陽性であれば、免疫を獲得している状態で再感染や重症化のリスクは低いと考えられます。しかしながら、終生免疫を保障するものではなく、また、抗体があっても感染しないということではありませんので、引き続き感染予防に注意して生活してください。
・タンパク抗体(中和抗体)が陰性だった場合、何らかの理由で抗体が十分に産生されなかった可能性がありますが、日本では追加接種は認められていません。
・スパイクタンパク抗体検査は自費診療です(6,000円、税別)
私を含め当院のスタッフ全員にこの検査を施行したところ、全員陽性、平均は10467AU/mlでした。一安心というところですが、予防接種が進んだイスラエルでもマスクの義務を中止したところ、感染が再拡大してきています。抗体ができたからといって油断すると変異型にやられてしまうかもしれないということでしょうか。
COVID-19 の全貌が明らかになっていない現状では、予防接種が終わっても、抗体ができても、油断しないで換気、マスク、消毒がまだまだ重要です。