新型コロナと花粉症対策
今年も、いよいよ花粉症シーズンに突入します。昨年12月9日に発表された『2021年春の花粉飛散予測(第2報)』によると、スギ花粉の飛び始めは全国的に例年並み、早い所では2月上旬から飛散するとのことです。また、今年の飛散量は広範囲で例年より少ないものの、前シーズンに比して多くなり、所々で非常に多くなることが予想されています。これは、昨年の飛散量が例年の5分の1だったことが影響しています。そのため、軽症の人は去年は症状が出なかったかもしれませんが今年は注意が必要です。そして今年はコロナ禍という特殊な状況が問題を複雑にしています。というのは、新型コロナウイルス対策として“換気”が必要なのに対し、花粉症対策は“密閉”がそれぞれの基本姿勢という、相反する状況があるからです。やはり換気はせざるを得ないため、花粉症の方がどれだけ対策をするかが重要となります。そこで、最も気をつけなければならないのが「くしゃみ」です。COVID-19の無症状感染者は「くしゃみ」や咳などの症状がないため、本来であれば症状がある人に比べウイルスを拡散するリスクが低いのですが、花粉症を持っているとその症状として「くしゃみ」が出ることでウイルスを拡散するリスクが高まってしまいます。製薬会社が行った意識調査では
■新型コロナウイルス感染症流行後、人の「くしゃみ」が気になる度合が増した人が80.3%
■「くしゃみ」をする人がマスクをしていても「変わらず気になる」という人が8.7%、「少し安心するけどやはり気になる」という人が62.3%
■新型コロナウイルス感染症の流行後、自身が「くしゃみ」をした際に周囲の目が気になる度合が増した人は88.4%。家庭内では「特に気にならない」が40.3%
■花粉症による「くしゃみ」が人に感染させるリスクになると思う人が83.8%
■花粉症の治療に前年より力を入れたいと思っている人は23.9%
という結果でした。つまり、自分も他人も感染リスクとしての「くしゃみ」を気にしており、マスクだけでは対策としては不十分で、今までよりしっかり治療したほうが良いと自覚している人が増えたということです。治療しないで、くしゃみや鼻水、涙目、目のかゆみなどの症状を放置していると、新型コロナウイルスを他の人にうつしたり、自分がかかる可能性も高くなりますので、花粉症の症状を抑えることはCOVID-19対策にもなります。ぜひ医療機関を受診してください。各医療機関は感染対策を十分に行なっておりますので、受診控えはしなくて結構です。
当院でも症状に合わせて内服薬や点眼薬、点鼻薬を処方いたします。また、根本的に治療したい方は舌下免疫療法も行なっておりますのでご相談ください。
コロナ禍と肥満
この年末年始も巣ごもり生活を迫られると思いますが、そうなるとついつい食べ過ぎたり運動不足になることで太ってしまうことが心配になるかと思います。先日、肥満リスクを相加的に高める不健康な食習慣について日本から報告がありました。今までも「間食」「早食い」「就寝間近の食事」という3つの習慣と肥満との関係は一般的な情報として社会に定着していますが、そのような食習慣が積み重なった場合に、肥満のリスクがより高くなるのかどうかは明確にはされてきませんでした。今回の研究では、対象者全体を前記の不健康な3つの食習慣の有無で分けて、その背景を比較すると、以下のような違いが見られました。
間食の習慣がある群はない群に比べ、女性の割合が高く、喫煙者、飲酒習慣のある人、就業者、独居者の割合は低い。
早食いの習慣がある群はない群より若年。
就寝間近に食事をする習慣がある群はない群に比べ、若年で、喫煙者、飲酒習慣のある人、就業者、独居者の割合が高く、女性の割合は低かった。
すべての食習慣について、ある群はない群よりも、肥満・腹部肥満の頻度が有意に高いことが明らかになった。
これら3つの食習慣が1つもない場合に比べ、1つ該当する場合は肥満は1.53倍、2つでは2.62倍、3つでは3.65倍と、該当数が多いほど肥満を有するリスクが高まることが明らかとなった。
肥満に関しては、若年層(59歳以下)、男性、運動習慣のない人、就業者において、不健康な食習慣の該当数が増えることの影響がより大きいことが分かった。また、腹部肥満に関しては、若年者、男性、就業者において、該当数が増えることの影響がより大きかった。
単純に言うと「間食」「早食い」「就寝間近の食事」の習慣が1つでもあると1.5倍、2つあると2倍以上、3つあると3倍以上と覚えるといいと思います。特に運動をしない若い男性は気を付けましょう。
新型コロナを心配しすぎて、受診控えをすることで持病が悪化したり、疾患の発見が遅れることが危惧されています。医療機関は換気・消毒など対策をしておりますので、皆さんもマスク着用・手指消毒し大声で話をしない、熱や呼吸苦があるときは事前に医療機関に連絡してからの受診する、などの対策をしながら受診をお願いいたします。
「まず、かかりつけ医に電話で相談」
厚生労働省は、新型コロナウイルスに感染したと疑われる人が受診する際の相談先を、診療所の「かかりつけ医」など、身近な医療機関が担うという新たな医療体制を公表した。「地域の実情に応じて、多くの医療機関で発熱患者を診療できる体制」の整備を目標としているためです。そもそも「かかりつけ医」とはなんでしょう?
日本医師会は「かかりつけ医」とはなんでも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介でき、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師、と定義しています。海外で言う「ホームドクター」とはやや異なります。と言うのは、海外ではどんな疾患であれ、まず受診する医師で、唯一の存在です。というのも日本ではフリーアクセスという、誰でも、どの医療機関にでも受診できるシステムだからです。なので、一般的には、患者さんも医療者側も定期的に通院している医療機関を「かかりつけ医」としていると思われます。
この埼玉県では風邪症状等があった場合、
「 もし、発熱したら 受診するための3ステップ 」として
※ まずは、かかりつけ医に相談。
かかりつけ医で対応できない場合には…
- 医療機関を検索
新型コロナとインフルエンザ両方の診療ができる「埼玉県指定 診療・検査医療機関」を検索システムからお探しください。
URL https://www.pref.saitama.lg.jp/a0710/hpsearch.html - 受診の予約
他の症状の患者さんとの接触を避けるため、医療機関ごとに発熱患者専用の 受付時間を設定しています。 必ず事前に予約をしてください。 - 受診
必ず、予約した病院で受診してください。
となっています。当院は指定を受けていないので検索システムには載っていません。
それでは、当院かかりつけの患者さんはどのようにしたら良いのでしょうか?
当院はこのかかりつけ医のところに相当します。当院ではPCR検査は行えませんが、かかりつけの患者さんには責任をもって対応し、新型コロナ感染の可能性を調べるために胸部レントゲン検査や新型コロナ・インフルエンザ抗原検査を行い、症状に応じて指定医療機関に紹介、もしくは医師会のPCRセンターで検査をできるようにします。
かかりつけの患者さんで、「自分はコロナ感染している?」などの体調に不安のある方は連絡してください。かかりつけ医に相談するときの目安は下記の通りです。
新型コロナについて「かかりつけ医」に相談する時の目安 |
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(1) 糖尿病などの基礎疾患を持っていて、発熱など症状に変化がある人は、まずは、かかりつけ医に電話で相談する。 |
(2) かかりつけ医より、「当院に何時に受診する」もしくは「どの医療機関を受診すればよいか」「どのタイミングで受診すればよいか」といった指示を受ける。 |
(3) 相談する医療機関に迷った場合には、「埼玉県受診・相談センター」に電話で相談する。 電話番号 048−762−8026(FAX番号048−816−5801) 受付時間:9:00−17:30 月曜日から土曜日(祝日含む) |
埼玉県内の新型コロナ感染症の死亡者
埼玉県内で新型コロナウイルスに感染し、死亡した人の数が9月19日で100人に達したとの報道がありました。このことで埼玉県内の方もあわてる必要はありません。感染者全体の死亡率は2・3%であり、また、コロナウイルス感染症が直接の原因でなくても死亡時にウイルス感染があればカウントすることになっています。なので、持病が悪化し、体力が低下しているところに不幸にもコロナウイルスに感染してしまい、亡くなってしまった方も含まれるのです。その証拠に80歳代以上では死者は63人にも上り、感染者の死亡率は26・8%と3割近くありました。それに対して、30~50歳代の死者は5人で、20歳代以下は0人でした。やはり、若者に対しては“単なる風邪”のようなもので、高齢者に対しては“怖い感染症”ということになります。賛否両論がありますが、私個人としては若い人はやみくもに怖がらず、しっかりと感染対策をしたうえで、外に出て経済を回すことは理にかなっていると思います。問題は感染対策をおろそかにした結果、感染しても無症状の健康な方が媒介となって、体力のない人にウイルスをうつしてしまうことです。特に家庭に持ち帰ってしまうと、家ではマスクをしないし、家族一緒に飲食もします。そこで、家から出ないように気を付けている高齢者にもウイルスをうつすことになってしまいます。家庭内感染は巷での感染の7倍もリスクが高いといわれていますし、ホームパーティーを行い、マスクなしで飲食やカラオケをしたことでクラスター化した事例もあります。なんの症状も見られない幼児が家庭にウイルス感染を持ち込むこともあります。症状がない場合でも、外に出て活動し感染のリスクのある方が、家庭で体力のない方と一緒に飲食をするのはリスクはあると思いますので、外であれ家庭であれ、やはり飛沫感染のもとになるマスクを外しての飲食や大声での会話は控えたほうが良いと思います。
逆に感染経路で最も多かった病院内というのは、入院患者でのクラスターが主で、福祉施設での感染も併せて考えても、やはり飲食や痰の吸引などのマスクを外しての行為が感染源と考えられます。病院やクリニックの外来でクラスターが発生したことはなく、外来の医師が感染した事例は過去にありますが、それは初期のころで対策もはっきりしていないときに感染者と知らずに濃厚接触してしまったためです。中国のデータでも同じ電車の車両内で感染する確率は0.3%程度といわれていることからも、適切に換気した待合室でマスクをしていれば、大声を出したり飲食をしない限りは感染する確率は低いと思われます。当院を含めた各医療機関や飲食店、カラオケ店などもかなり感染対策には力を入れています。怖がりすぎて萎縮して生活したり、いろんな誤った情報に踊らされたりしないようにしましょう。ましてや、行き過ぎた“コロナ警察”の一員になり、社会を窮屈なものにしないようにしましょう。悪いのは病気であって、人ではありません。無罪放免という言葉を使ったどこかの知事みたいに、かかった人が悪い、などという考えも意味がないと思います。誰もがこのウイルスにかかる可能性があり、コロナ警察の方もかかるかもしれません。今は適切に治療すれば重症化する確率も低いので、まずは自分がかからにように気を付ける、そして、自分がかかっているかもしれないと考えて周りに移さないよう気を付ける。それが、“withコロナ”の生活だと思います。
当院では来院時の検温・手指消毒を行っております(スタッフも同様です)。また、内視鏡などのマスクを外す医療行為をする際には、マスクを外した状態で患者さん同士が同室になることはありません。待合室は窓の開放やサーキュレーターを用い、十分な換気を行っており、空気清浄機も用いております。患者さんが密にならないように順番待ちシステムも導入しており、来院前に混雑状況を知ることもできますし、駐車場で待つことも可能です。当院は、ありがたいことに皆さんがマスクを着用して来院していただいており、お静かに待って頂いているため、感染するリスクは低いと思いますので、安心して受診してください。
2020年インフルエンザ予防接種
今年は新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスのダブル流行が懸念されるため、インフルエンザワクチンの需要が高まる可能性があると言われています。それを踏まえて、厚労省から季節性インフルエンザワクチンの接種時期に関して下記のような協力のお願いが通知されています。
○ 原則として、
①予防接種法に基づく定期接種対象者(65 歳以上の方等)の方々でインフルエンザワクチンの接種を希望される方は10 月1日(木)から(※)接種を行い、それ以外の方は、10 月26 日(月)まで接種をお待ちいただくようお願いします。
(※)自治体によってはワクチンの接種開始時期が異なり得ますので、ご注意ください。
○ 10 月26 日(月)以降は、
特に、②医療従事者、65 歳未満の基礎疾患を有する方、妊婦、乳幼児(生後6 ヶ月以上)~小学校低学年(2年生)の方々で、インフルエンザワクチンの接種を希望される方に対して、接種が可能となります。
○ なお、これら以外の方々についても、10 月26 日(月)以降は接種をお待ちいただく必要はありません。
当院でも、この通知に準じて予防接種を行う予定です。ご希望の方は9月24日から予約を受け付けますのでお電話ください。なお、昨年までは当院では希望の方には2回接種も行っておりましたが、今年はワクチンの不足も予想され、必要な方にワクチンが届かなくなる心配もあるため、原則として2回接種は行いません。ご了承ください。
65 歳以上の方 10月1日(木)〜 自己負担分は各自治体による(白岡の方は1500円)
13〜64歳の方 10月26日(月)〜 3500円(自費)
また、あまり知られていませんが、10月1日から予防接種の間隔についても変更があります。今まではワクチンの種類によって接種の間隔が決められていました。異なる生ワクチンと生ワクチンの接種間隔は今まで通り4週間以上ですが、それ以外では縛りがなくなりました。例えば、肺炎球菌ワクチンとインフルエンザワクチンを接種するときは1週間以上間隔を開けて接種する必要がありましたが、今後は間隔を開ける必要がなくなります。幼児の予防接種のスケジュールの設定には影響があると思われますが、成人にはあまり関係がないかもしれません。
「みんなで安心マーク」
2020年8月7日、日本医師会は新型コロナウイルス感染症などの感染防止対策を行う医療機関であることを患者などに表示する「みんなで安心マーク」の配布を開始しました。これに合わせて日本医師会は院内感染防止のために9つのチェックリストを示しました。
日本医師会が示した院内感染防止対策のチェックリスト
1. 職員に対して、サージカルマスクの着用、手指衛生が適切に実施されている。
2. 職員に対して、毎日(朝、夕)の検温等の健康管理を適切に実施している。
3. 職員が身体の不調を訴えた場合に適切な対応を講じている。
4. 患者、取引業者等に対して、マスクの着用、手指衛生の適切な実施を指導している。
5. 発熱患者への対応として、事前に電話での受診相談を行う、または対応できる医療機関へ紹介する等の対策を講じている。また、発熱患者を診察する場合には、時間的または空間的に動線を分けるなどの対策を講じている。
6. 受付における感染予防策(遮蔽物の設置等)を講じている。
7. 患者間が一定の距離が保てるよう必要な措置を講じている。
8. 共用部分、共有物等の消毒、換気等を適時、適切に実施している。
9. マスク等を廃棄する際の適切な方法を講じている。
「みんなで安心マーク」を取得するためには、特設サイトにアクセスし上記の9つのチェックリストを回答する必要があります。全て満たしていると、医療機関名入りのマークを印刷でき、医療機関に掲示することができます。あくまでも、セルフチェックで、厳密なものではありませんが、各医療機関の感染に対する心構えなので嘘をつく必要もないので、信用できると思います。そこで、当院に関しても私がチェックしてみました。
☑︎1.職員のマスク着用、手指衛生を実施しています。
☑︎2.毎日職員の健康チェックを実施しています。
☑︎3.いまだ職員の中に体調不良者が出ていませんが、万一出た場合は、まず自宅待機、必要に応じてPCRを含めた検査を受けることとしています。
☑︎4.患者さんの来院時、手指消毒、ならびにマスクの着用を指導しています。
☑︎5.発熱の問い合わせがあった際は、本来の外来と別の時間に受診していただき、また、診察室とは別の部屋で診察します。
☑︎6.受付にはアクリル板を設置しています。
□7.残念ながら当院では待合室の広さの問題から、ソーシャルディスタンスとし座席の間隔は取れていません。ただ、受付をしたあと、ご自身の車で待つことはできます。また、来院前にホームページから混み具合を知ることもできます。なので△というところでしょうか?
☑︎8.消毒、換気は適宜行い、特に換気に留意し、常に窓を開放、サーキュレーター・空気清浄機を複数台使用しています。
☑︎9.マスクに限らず、感染の可能性のあるものは適切に廃棄しています。
このようになりました。現時点で全部にチェックがつかなかったため、「みんなで安心マーク」が掲示できなくて残念ですが、みなさんが安心して受診できるように出来る限り対策をしていきたいと考えています。
最近、東京都の「虹のステッカー」を貼ったお店でも集団感染が出てしまいましたが、これはそのお店の対策が不十分だったり、嘘を付いたりしているわけではないのではないかと思います。お店側が十分に対策していても感染するかもしれないこと、お店側だけの対策だけでは無理があるということだと思います。お店や施設側と一緒に皆さんも対策をすることが重要なのだと思います。いつの間にか自分が感染しいている可能性もあるので、「自粛警察」や「コロナ狩り」など他人を責めるのではなく、私も含め、皆さんそれぞれが、自分がコロナにかかっているかもと思って行動しましょう。私個人はまず、新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)をダウンロードしました。
「PCR検査陽性」=「新型コロナ感染者」?
全国にPCR検査陽性者数が増加しています。埼玉も含めてPCRセンターが設置されるなど検査数が飛躍的に増えたこともありますが、やはり感染者が増えていると考えるべき数字だと思います。しかしながら以前からテレビなどの報道でも気になっていたのですが、毎日報告されているのはPCR陽性者数であり、感染者数ではありません。では「PCR陽性」=「新型コロナ感染」なのでしょうか?これには検査の精度が関係します。PCR検査結果が陽性であっても実は感染していない“偽陽性“、その逆の検査が陰性であっても実は感染している“偽陰性“の存在です。偽陰性に関しては米国ジョンズ・ホプキンズ大学からの報告によると、偽陰性率は、発症後3日目(感染後8日目)に最も低くなるとのことで、そのため、検査は発症から3日間待って実施すべきとしています。主な研究結果としては、
・偽陰性率は感染1日目が100%であり、4日目が67%まで減少した。
・発症日(感染5日目)の偽陰性率は38%であった。
・感染8日目(発症から3日目)の偽陰性率は20%と最低となり、その後、9日目(21%)から再び増加し、21日目に66%だった。
とのことです。なので、感染したかもしれないと言ってすぐにPCR検査を受けても陰性だからと言って本当に感染していないとは言い切れないということです。実は以前日本で行われていたた「4日間は様子を見る」と言うのはあながち間違っていなかったかもしれません。ただ、発症後1週間くらいは偽陰性率は低いため、明らかな症状が続く場合は早めに検査を受けることが良いと思います。心配だからと早めに検査を受けて、PCR検査が陰性だったたからと検査が陰性だったからとマスクもしないで生活すると、周りにうつしてしまうかもしれません。うつされたくないと言うより、うつしたくないと言った気持ちで生活することが大事なのではないでしょうか?家庭内感染は市中感染の約7倍のリスクがあるため、自宅に高齢や持病のある方のように感染リスクの高い方がいらっしゃる方は特に注意してください。
中年期の肥満が認知症リスク
中年期に肥満だと、認知症の発症リスクが高くなる可能性のあることがイギリスから報告されました。50歳以上で認知症のなかった6,582人を追跡した調査で453人(6.9%)の参加者が認知症を発症しましたが、研究開始時に肥満であった人は標準体重の人に比べて、認知症発症リスクが31%高いことが明らかになりました。特に顕著に現れたのは中心性肥満の女性で、腹囲が正常であった女性と比べて認知症リスクが39%いという結果でした。また、米アルツハイマー病協会のディレクターを務めるKeith Fargo氏は、「アルツハイマー病の研究において、糖尿病、肥満、高血圧などの心臓の健康のリスク因子と、認知機能低下および認知症との関連は、十分に調べられている。今回の研究結果により、肥満と認知症発症リスクとの関連に関するエビデンスが一つ加わった」と説明しました。今回の研究における肥満とはBMI【BMI=(体重)÷(身長(m))÷(身長(m)で計算される】で分類されたもので、標準体重(18.5~24.9kg/m2)、過体重(25~29.9kg/m2)、肥満(30kg/m2以上)とされています。日本でもBMI25以上で1度肥満、30以上で2度肥満とされています。また、腹囲では、女性は88cm以上、男性では102cm以上を中心性肥満と定義しており、日本の女性は90㎝以上男性85cm以上とやや異なります。ただいずれにしても、肥満、腹囲、糖尿病、高血圧といったものは日本でもメタボリック症候群の診断基準として定義されています。このメタボリック症候群は、心筋梗塞や脳卒中などの寝たきりの原因となる心血管疾患を引き起こすといわれているため、特定健診などで早期発見、早期治療介入を行うようになっています。
今回の研究ではメタボリック症候群は間接的に認知症の原因となるだけでなく、直接的にも認知症の原因となることを示唆されています。今まで受けてこなかった方も、毎年受けている方も、ぜひ特定健診を受けてください。
当院でも、8月1日から、白岡市・久喜市・蓮田市・宮代町の対象の方が健診を受けられます。ご希望の方は予約のお電話をお願いいたします。
新型コロナウイルス感染症と特定健診
新型コロナウイルス感染症の拡大により、生活習慣病の患者さんの多くが外出を自粛したことに伴い、医療機関への通院を控えたと報道されました。「血糖トレンド委員会」は、生活習慣病患者に新型コロナウイルス感染症がどのような影響を与えたのかを分析するため調査を実施し、今回その結果を発表しました。具体的な項目として
Q.「COVID-19の流行が始まってから、普段の通院回数に変化はありましたか」
A.「変わらない」(78.6%)
「減った/通院していない」(20.4%)
「増えた」(1.0%)
また、「減った/通院しなかった理由」として
「新型コロナ感染予防のため」(77.8%)
「自主的に外出自粛をしていたため」(30.2%)
の順で多かった。
Q.「緊急事態宣言が解除されてからの通院状況について」
A.「不安はなく、通院を再開した」(33.7%)
「不安はあったが、通院を再開した」(30.4%)
の順で多かった、などです。
まとめると
”定期的な通院を必要とする生活習慣病患者の20.4%がコロナ感染予防を理由に通院を自粛し、患者の44.9%は今後の通院もいまだに不安に感じている”
ということでした。今回の自粛で通院控えをした方は当然内服も不規則になっているため、血糖値や血圧のコントロールが悪くなっていることが容易に想像できます。受診間隔が伸びたことでモチベーションが下がったり、採血の間隔も伸びて管理が緩くなったこともあるかと思われます。また、”自粛太り”という言葉もあるように外出機会が減ったことで自然と運動量が減ったり、間食が増えたことで体重が増えた方もいらっしゃると思います。生活習慣病は新型コロナ感染症の感染リスクであり、生活習慣病の管理が悪くなると、免疫力が落ちることにもつながります。生活習慣病をお持ちの方、もしくは予備軍の方は、感染予防のためにも改めて現状を再評価する必要があるかと思います。そのいい機会になるかと思われる特定健康診査・後期高齢者健康診査(いわゆる特定健診)が始まります。今まであまり受けてこなかった方も、毎年受けている方も、今年はぜひ受けてください。
特定健康診査(40−74歳)、並びに後期高齢者健康診査(75歳以上) のお知らせ
例年は6月から実施されていましたが、今年度は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、8月1日からに変更になりました。対象者の方には市から受診券及び案内が届きます
自己負担金 無料
実施期間 8月1日(土)〜12月28日(月)
実施機関 白岡市、久喜市、蓮田市、宮代町の指定医療機関
当院での健診をご希望の方は、受付に申し出るか、お電話でのご予約をお願いいたします。
CDCのガイドラインの更新
6月25日、米国疾病予防管理センター(CDC)は新型コロナウイルス感染時の重症化リスクに関するガイドラインを更新しました。CDCは、重症化リスクの高い要因として「高齢者」「基礎疾患を持つ人」の2つを挙げ、また、今回からリスクを高める可能性がある要因として、妊娠を追加しました。日本では、アメリカと異なり重症化の可能性が低いため、まったく同じと言うわけにはいきませんが、逆に患者数が多いことから傾向を掴みやすいともいえるため、参考にはなるかと思います。
【重症化リスクが高くなる基礎疾患】
・慢性腎疾患
・慢性閉塞性肺疾患(COPD)
・臓器移植による免疫不全状態(免疫システム減弱)
・肥満(BMI:30以上)
・心不全、冠動脈疾患、心筋症などの深刻な心臓疾患
・鎌状赤血球症
・2型糖尿病
【重症化リスクが高くなる可能性がある基礎疾患】
・喘息(中等度~重度)
・脳血管疾患(血管と脳への血液供給に影響を与える)
・嚢胞性線維症
・高血圧または高血圧症
・造血幹細胞移植、免疫不全、HIV、副腎皮質ステロイド使用、他の免疫抑制薬の使用による免疫不全状態
・認知症などの神経学的状態
・肝疾患
・妊娠
・肺線維症(肺組織に損傷または瘢痕がある)
・喫煙
・サラセミア(血液疾患の一種)
・1型糖尿病
日本では患者さんの少ない疾患も含まれているため、今まで報告されている疾患と大きくは変わっていません。アメリカでは65歳以上が死亡者の8割以上を占めることから、高齢であることがリスクであることは日本と同様です。
そして、上記の基礎疾患を持つ人は高齢者同様下記のような感染予防対策をとるほか、疾患治療を中断しないことを推奨しています。
【感染予防対策】
・他人との接触を避け、やむを得ない場合は手洗い、消毒、マスク着用などの感染予防策をとる。
・疑い症状が出た場合は、2週間自宅に待機する。
・イベントは屋外開催を推奨、参加者同士で物品を共有しない。
・他疾患が進行することを防ぎ、COVID-19を理由に緊急を要する受診を遅らせない。
・インフルエンザ、肺炎球菌ワクチンを接種する。
正直、提示された予防対策は目新しいものはありません。日本で従来から行われている手洗いやマスクに加え、持病の管理、他疾患の予防ということでのワクチン投与などです。
結局、不要不急などの言葉に惑わされず、きちんと定期的通院、内服をすることで健康管理をすることが重症化を防ぐ手段ということです。そして、重症化のきっかけを防ぐために他疾患用のワクチン接種をすることも推奨しています。肺炎球菌ワクチンはアメリカでは日本でも用いられているニューモバックスを5年ごとの接種に加えてプレベナーの併用が推奨されています。日本でも肺炎球菌の接種年齢以外の方はプレベナーを接種するのも良いと思います。
また、今の日本であれば、熱中症で体力を消耗することも感染や重症化のきっかけになると思われますので、熱中症にはご注意ください。