今般の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大している環境において、消化器内視鏡診療の実施に関する提言が日本消化器内視鏡学会からがありました。
要は
●感染のリスクが低い方にも不要不急な内視鏡検査は行わないこと
●内視鏡検査を行う場合は、医療従事者はしっかり感染予防体制を整えることということ
です。
不要な検査というものは基本的にはないはずですし、症状があって不安な人に「急ぎじゃないので今は検査しません」というのも違うと思っています。とはいえ、このご時世なので、感染拡大を助長するわけにはいきません。当院でも、検査の必要性・緊急性をしっかり考慮し、医療従事者はしっかりと感染対策を行い、検査の前後で換気や機器の消毒をしっかりと行うことで、安全に検査を行いたいと考えています。
そのため、当面、以下のような症状のある方への内視鏡検査は控えさせていただきます。
- 感冒症状や37.5℃以上の発熱
- 2週間以内の新型コロナウイルスの患者やその疑いがある患者との濃厚接触歴
- 2週間以内の感染多発地域への渡航歴
- 強い倦怠感や息苦しさ
- 明らかな誘因のない味覚・嗅覚異常
- 明らかな誘因なく4−5日続く下痢等の消化器症状
また、検査時はマスクやゴーグル、防護メガネやフェイスガード、ガウンなど、ものものしい格好で検査にあたらせていただきますが、検査を受けられる方がコロナウイルスに感染していると思っているわけではありません。学会の提言に従い、スタンダードプリコーションという感染防御体制をとっているということをご了承ください。
発熱した患者さんに対しては、この格好で診療に当たらせていただきますので、この点もご了承ください。
このような環境であっても、お腹が痛くなる人もいるし下血する人もいます。症状が乏しくても胃や大腸に癌のある方もいます。今は大腸ポリープでも時間が経てば大腸癌になるかもしれません。緊急性があるかどうかは検査をしてみないと分からないことも多くあります。感染が怖いからと言って検査を避けることが、その方にとっていいことかどうかは誰にも分かりません。内視鏡検査で感染するリスクがあるのは患者さんではありません。なので、あまり怖がらず、検査の必要性に関しては医師とよく相談して決めるのがいいと思います。