成人の予防接種
当院で行っている成人の予防接種は以下のものです。インフルエンザワクチンを除いて小児の予防接種は行っておりません。ここに挙げたものは大人でも受けた方がよいと思われるものです。
※ここに挙げた予防接種は予約が必要です。また、すべて自費になります。
ワクチンの種類 | 料金 |
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MR(麻疹・風疹混合)ワクチン | お問合せください |
おたふくかぜワクチン | お問合せください |
水痘(水ぼうそう)ワクチン | お問合せください |
日本脳炎ワクチン | お問合せください |
A型肝炎ワクチン | お問合せください |
B型肝炎ワクチン | お問合せください |
予防接種を受けた後の一般的注意
- 予防接種を受けた後30分間程度は、医療機関で経過を観察するか、医師とすぐに連絡をとれるようにしておきましょう。急な副反応がこの間に起こることがまれにあります。
- 接種後、生ワクチン(MR、おたふくかぜ、水痘)では4週間、不活化ワクチン(日本脳炎、A型肝炎、B型肝炎)では1週間は副反応の出現に注意しましょう。
- 接種部位は清潔に保ちましょう。入浴は差し支えありませんが、接種部位をこすることはやめましょう。
- 当日は、はげしい運動は避けましょう。
- 接種後、接種部位の異常な反応や体調の変化があった場合は、速やかに医師の診察を受けましょう。
予防接種の間隔
予防接種から次の別の種類の予防接種までの接種間隔は、「生ワクチンなら4週間(中27日)」「不活化ワクチンなら1週間(中6日)」です。生ワクチンと不活化ワクチンを受ける場合、不活化ワクチンを先に受ければ、1週間後に生ワクチンが受けられます。生ワクチンを先に受けると、4週間後までは不活化ワクチンを接種できないことになります。
麻疹(はしか)
麻疹ウイルスが原因で起こる感染症で、感染力が非常に強く、発症すると風邪のような症状と発疹が起こります。一度感染すると免疫がつき、二度と発症することはありません。麻疹ウイルスは定期接種の対象になっているので乳幼児は麻疹の発症を予防することができますが、大人の中には麻疹のワクチンを接種していなかったり、摂取回数が不十分で免疫のできていない人がいます。そのため、大人に流行が起こることがあります。
妊娠中、麻疹にかかると流産や早産のおそれがあります。
咳やくしゃみで空気感染をするため感染力が非常に強く、マスクや手洗いでは感染を防げません。予防接種がもっとも有効な予防法と言えるでしょう。
麻疹ワクチンは1回の接種では免疫がつきにくく、2回接種することになっています。現在では2回の定期接種となった麻疹の予防接種ですが、それは2006年度からのことで、それ以前は、任意接種だったり1回接種だったりと、生まれた年代によって異なります。現在では、2歳以上の年齢の95%以上の人は、麻疹の抗体を保有しているとされていますが、予防接種をしているかわからないという場合は、自分の生まれた年をチェックして、予防接種を受けることを検討してみましょう。
生まれ年からわかるワクチン接種目安
《平成2年(1990年)4月2日以降に生まれた人》
予定通りに受けていれば2回、麻疹のワクチン定期接種を受けており、十分な抗体を持っています。基本的には予防接種は不要です。
※定期接種は強制ではないため、必ず受けているとは限りません。なんらかの理由で受けていない場合もあるため注意しましょう。
《昭和53年(1978年)から平成2年(1990年)4月1日生まれの人》
予定通りに受けていれば1回は麻疹のワクチン定期接種を受けているはずです。
→麻疹にかかったことがないか、2回目の接種が確認できなければ、追加接種が必要です。
《昭和53年(1978年)以前に生まれた人》
この年以前に生まれた多くの人は定期接種でワクチンを接種する機会はありませんでした。しかし、過去に自然感染して発症したか、気付かない程度の軽症を経験し、すでに免疫を持っている人が多数です。
→確実に感染したことがわかっているか、2回接種したことを確認できれば接種不要ですが、それ以外は予防接種をしましょう。
予防接種のスケジュール
2回接種を受ける方は1回目の接種から4週間以上の間隔をあけて2回目の接種を受けてください。妊娠中は接種できません。また接種を受けたら2ヶ月間は避妊する必要があります。
予防接種の費用
麻疹ワクチン | 現在用いていません |
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MRワクチン(風疹ワクチンと混合) | お問合せください |
風疹の予防接種も必要な人は、MRワクチンの接種がおすすめです。
予防接種を特に受けておきたい人
- 多数の人に接触する職業の人
- これから妊娠の可能性がある人
緊急接種
麻疹の患者さんに接触した場合、72時間以内に麻疹ワクチンの接種をすることで発症が抑えられると考えられています。
MRワクチンの副反応
発熱・発疹・リンパ節腫脹・関節痛が見られることがあります。
風疹
風疹は、風疹ウィルスが原因で起こる感染症です。三日はしかとも呼ばれますが、麻疹(はしか)とは別ものです。
発症すると風邪のような症状と発疹が出ます。近年は大人の間に流行している病気で、大人は重症化しやすく、妊娠初期の女性がかかると胎児に悪影響を及ぼすため予防したい病気です。
予防接種のスケジュール
接種は2回必要で、2回目は5年後に行います。麻疹の接種も必要な人はMRワクチンの接種がおすすめです。
予防接種の費用
成人を対象に費用の一部を補助している自治体もあります。
風疹ワクチン | 現在用いていません |
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MRワクチン | お問合せください |
予防接種を特に受けておきたい人
- 子供の頃、定期接種を受けていない人
- 風疹にかかったことのない人
- 今後、妊娠の予定のある人
- 家族に妊娠の予定がある女性のいる男性
大人の方、とくに妊娠前の女性は風疹の抗体検査を受け、抗体ができているかどうか確認し、抗体ができていなければ予防接種を受けると良いと思われます。抗体検査は自治体が無料で実施していることもあります。
MRワクチンの副反応
発熱・発疹・リンパ節腫脹・関節痛が見られることがあります。
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)
おたふくかぜは、ムンプスウイルスが原因で起こる感染症です。
耳の下が腫れて痛みます。一度かかって免疫ができると二度とかかることはありません。幼稚園や学校などで流行を起こし、子供のうちに済ませることが多いのですが、思春期以降にかかると重症化しやすく、男性は合併症の睾丸炎に注意が必要です。おたふくかぜは不顕性感染と言ってウイルスに感染しても症状が出ないで抗体のみ獲得することが多くみられます。そのため、本当にかかったことがないかは抗体検査をしないとわかりません。
予防接種のスケジュール
おたふくかぜを経験していない人は、ムンプスウイルスのワクチンを1回接種します。
抗体がある人にワクチンを接種しても問題となる副反応を生じることはないと考えられているので不顕性感染の人でも、かかったことがないとしてワクチン接種をしても問題ありません。
予防接種の費用
成人を対象に費用の一部を補助している自治体もあります。
おたふくかぜワクチン | お問合せください |
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予防接種を特に受けておきたい人
- 小学校に上がるまでにおたふくかぜにかからなかった人
- おたふくかぜにかかったことのない男性(強く推奨)
大人の方、とくに妊娠前の女性は風疹の抗体検査を受け、抗体ができているかどうか確認し、抗体ができていなければ予防接種を受けると良いと思われます。抗体検査は自治体が無料で実施していることもあります。
副反応
接種後2-3週後に一過性の耳下腺腫脹が生じることがあります。軽いおたふくかぜのようなものですが周囲にうつることはありません。
水痘(水ぼうそう)
水痘(みずぼうそう)は、水痘帯状疱疹ウイルスが原因で起こる感染症です。
感染力が非常に強く、発症すると全身と口腔内に水疱が出て発熱が起こります。90%以上の人が子供のうちに自然感染しています。
感染しても無症状のことも多いのですが、大人になってから初感染すると重症化しやすいのが特徴です。
一度感染すると一生体の中に棲み続けるウイルスで、免疫力が低下した時に「帯状疱疹(たいじょうほうしん)」を引き起こすこともあります。
予防接種のスケジュール
1回の接種で水痘の重症化が予防でき、2回の接種で軽い水痘の発症も予防できます。
2回目の接種は1回目の3ヶ月後以降に受けます。ちなみに平成26年10月からは定期接種となり、2回接種することが薦められています。
予防接種の費用
水痘ワクチン | お問合せください |
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緊急接種
水痘の患者さんに接触した場合、72時間以内に水痘ワクチンの接種をすることで発症を90%、120時間以内であれば70%抑えられると考えられています。
副反応
ほとんどありません。
日本脳炎
感染したブタから蚊が運んできて感染し、脳炎を起こす病気です。ヒトからヒトへはうつりません。感染したすべての人が発症するわけではなく、約300~1000人に1人の割合で急性脳炎を発症します。脳炎になると高熱、意識障害がでます。治療が難しく、約3分の1が死亡し、3分の1は重い後遺症を残します。日本脳炎の発症者数は、毎年10名程度ですが、感染者数はその数百倍いると言われています。日本脳炎は重大な病気でありワクチンでしか防ぐ予防法はありません。WHO(世界保健機構)も接種を強く勧めています。
わが国では患者の発生は少なくなりましたが、アジア、とくにモンスーンアジア地域では現在でも常在性の疾患であり、しばしば大流行がみられます。常在地に出かける場合、ことに長期にわたる場合には接種を受けておくことを勧めてください。
予防接種のスケジュール
基礎免疫を受けている人は1回追加接種を受けて下さい。また、1回もワクチン接種を受けていない人は基礎免疫からの接種が必要です。
予防接種の費用
日本脳炎ワクチン | お問合せください |
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予防接種を特に受けておきたい人
- 日本脳炎の流行地域(中国、東南アジア、ロシアなど)に渡航・長期滞在する人
副反応
全身倦怠感、局所の疼痛・発赤、頭痛、など。急性散在性脳脊髄炎(ADEM)の発症が有名ですが、0.33-0.64%と発症はごく稀です。
B型肝炎
B型肝炎は、B型肝炎ウイルスが原因で起こる感染症です。血液から感染し、母子感染・注射事故・性行為・刺青などから感染する可能性があります。風邪に似た症状と肝機能低下が起こり、劇症になると命に関わる場合もあります。またA型肝炎同様に肝硬変・肝臓癌に進む可能性があります。先進国の中にはワクチン接種を義務づけている国もあります。
予防接種のスケジュール
3回の接種が必要です。大人が受ける場合は4週間後に2回目、4~5ヶ月後に3回目の接種を受けます。抗体のつきにくい人もいるため、接種終了1か月後に抗体を測定し、抗体のつきが悪い場合は1か月後に再接種することが望ましいとされています。
予防接種の費用
B型肝炎ワクチン | お問合せください |
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予防接種を特に受けておきたい人
- ウイルスのキャリア
- キャリアの家族
- 医療従事者
- 血液透析を受けている人
- 渡航する人
副反応
ほとんどありません。
インフルエンザワクチン
厚生科学研究班の研究によると、ワクチン接種により65才以上の発症率を45%、インフルエンザ死亡率を60%下げたという報告があります。
インフルエンザ予防接種のスケジュール
13歳未満 | 2回接種 |
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13歳以上 | 1回接種もしくは2回接種 |
接種してから効果が出始めるまでに2週間かかります。インフルエンザが流行する12月~3月頃から逆算して12月中旬までには接種を受けておくのがおすすめです。
流行するウイルスの型が毎年変わること、ワクチンの効果は4~5ヶ月経つと薄れていくことから、1年後には改めて接種を受ける必要もあります。
インフルエンザ予防接種の費用
インフルエンザワクチン | お問合せください |
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原則として全額自己負担です。
※ただし、定期接種対象者(65歳以上の人、特定の疾病がある60~64歳の人)は、公的扶助が受けられます。
インフルエンザ予防接種を特に受けておきたい人
基本的に全ての人が受けておくと安心なワクチンですが、次のような方は特に受けておきたいです。
- 多数の人と接触する職業の人
- 受験生の人
- 持病を持っていてインフルエンザにかかると重症化する恐れのある人
1回接種と2回接種
日本臨床内科医会が行なった季節性インフルエンザに対するワクチンの有効性の研究について発表された内容によると、13歳から64歳のインフルエンザ予防接種1回の有効率は64%、2回接種のときは94%という研究結果となっています。このことから2回接種の有効性が確認されています。
大人のインフルエンザ予防接種が1回なのは、1回の接種で十分な抗体が体内にできるからではありません。2001年にインフルエンザワクチンが不足したことで政府が1回接種を推奨し、その流れが今も続いているだけであり、1回接種でいいということは明確になってはいません。一般の方のインフルエンザ予防接種は全額自己負担なので、料金を考えると2回接種は負担が大きいですが、会社を休むことが出来ない人や受験生は2回接種にして予防対策をしておくことも必要なことだと言えます。
大人の人が2回接種する場合は、4週間あいだをあけて接種することをおすすめします。
副反応
局所の紅斑・熱感・腫脹・疼痛・かゆみ、鼻漏、倦怠感、頭痛、など。
稀なものとして、肝機能障害・黄疸、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、けいれん、喘息発作、ギランバレー症候群があります。
肺炎球菌ワクチン
肺炎は、細菌やウイルスなどの病原微生物が感染して、肺に炎症を起こす病気です。平成26年の厚生労働省の統計によると、わが国における肺炎による死亡数は、悪性新生物、心疾患に続く第3位となっています。なかでも肺炎球菌が原因菌の約1/4を占めます。しかも、亡くなる方の約95%が、65歳以上の方です。
肺炎の原因となる細菌やウイルスは人のからだや日常生活の場に存在しています。からだの抵抗力(免疫力)が弱まったときなどに感染を起こしやすく、普段、元気に暮らしている方でも、持病の悪化や、体調不良などをきっかけに、感染する可能性のある病気なのです。いったん発生した肺炎の治療は簡単ではありません。なので、大切なのは、肺炎にならないこと。つまり、予防が大切なのです。予防する方法としては外出後の手洗いやうがい、禁煙などの生活習慣などが挙げられますが、加えて予防接種を行うことでさらに肺炎のリスクが下がると考えられています。日常でかかる肺炎の原因菌で最も多いのは、「肺炎球菌」です。そのため、肺炎球菌ワクチンが効果的と考えられています。
ワクチンの種類
ワクチンには、13価と23価の2種類があり、23価のワクチンの方が、より多くの肺炎球菌に対応しています。全ての肺炎球菌に有効と言う訳ではありませんが、一般に用いられている23価のワクチンは、日本で存在が確認されている肺炎球菌の約80%に対して効果があると言われており、すべての肺炎球菌による市中肺炎を27.4%、ワクチン血清型の肺炎球菌による市中肺炎を33.5%減少させたと国内より報告されていいます。 また、13価のワクチン接種により、ワクチン血清型の肺炎を38〜70%、すべての原因の肺炎を6〜11%減少させたとの予防効果が諸外国より報告されています。
ニューモバックス | プレベナー | |
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ワクチン株 | 23価 | 13価 |
特徴 | 広範囲にカバー | 高い免疫効果 |
接種間隔 | 5年ごとに接種 | 1回のみ |
接種方法 | 定期接種(対象者に補助あり) 任意接種(自費) |
任意接種(自費) |
ワクチン接種のスケジュール
定期予防接種の対象者
H26年10月1日から、65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳および100歳の方を対象に、肺炎球菌ワクチンが定期接種となりました。対象の方には各自治体から通知が届くことになっています。
定期予防接種の費用
定期接種の対象の方には、公費の助成があります。
白岡市・久喜市・宮代町・蓮田市 | お問合せください |
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加須市・幸手市 | お問合せください |
その他の地域の方も当院で接種できます。金額はお問い合わせください。
白岡市の方は電話で予約の上、通知はがきを持参してください。当院で予診票をお渡しいたします。白岡市以外の方はお住まいの地域の保健センター等に連絡し予診票をもらってください。電話予約の上、それを持参して当院にお越しください。
任意予防接種の費用
ニューモバックス(23価ワクチン) | お問合せください |
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プレベナー(13価ワクチン) | お問合せください |
肺炎球菌ワクチンの追加接種
肺炎球菌ワクチンを接種すると、1か月後に効果がピークに達し、その後の4年間はあまり低下しません。5年目以降もその効果は続くといわれていますが、その効果はピーク時の80%まで下がり、その後も徐々に効果は下がるとされています。そのため、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツなどでは、ハイリスクな方に向けて5~6年ごとの再接種が認められています。日本では65歳以上の方は前回の接種から5年以上経過していれば追加接種が可能です。ただし、この場合は自費となります。
ニューモバックス(23価ワクチン) | お問合せください |
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副反応
局所の紅斑・熱感・腫脹・疼痛・かゆみ、発熱、アナフィラキシー様反応などが起こることがあります。稀に、血小板の減少、手や足に力が入らなくなるギランバレー症候群などがみられます。
破傷風の予防接種
破傷風とは
破傷風は破傷風菌(Clostridium tetani)が産生する毒素によって起きる感染症で、重症例では呼吸筋麻痺により窒息死します。国内での報告患者数は1990年以降年間数十人と多くありませんが致死率が高く(20~50%)、世界的には新生児感染症ですが日本ではほとんど成人、特に中高齢者に発症します。
破傷風菌は土中に存在し、創傷部位より体内に侵入し感染します。基本的には汚染創が契機となりますが、汚染がひどくない創から感染することもあります。
WHOや米疾病管理予防センター(CDC)では、破傷風トキソイドを成人が定期的に接種すべき予防接種の一つに挙げています。つまり外傷があろうがなかろうが、定期的に接種することが望ましいとされています。そして全ての創傷において破傷風発症のリスクを考慮しなければならないとされています。
症状
破傷風菌は強烈な神経毒を作り出します。傷口の神経末端から入り、最終的には脳へ回ります。最初は傷口付近がこわばる感じや倦怠感があります。その後、全身にまわり始めると口が開かない、物が飲み込みにくい、手足の硬直、さらには全身のけいれんがはじまります。死に至らなかったとしても手足の硬直が消えるまでは2ヶ月ほどかかります。
治療
いったん発症した場合は治療は困難です。早期診断、早期治療が重要で、気が付いたらスグに傷口をカットして広げて空気にさらし(破傷風菌は空気にとても弱いのです)、水でよく洗って毒素を少しでも取り除いてください。抗生物質の投与、抗毒素の投与はとても早ければある程度の効果はありますが、こわばりが出始めるぐらいまでに投与しないと意味がありません。けいれんに対する治療や気管切開などによる呼吸管理も必要となってきます。
予防
破傷風のワクチンはトキソイドといって、無毒化した破傷風毒です。
日本できちんと定期予防接種を受けている場合は、乳幼児期に基礎免疫をつけ、さらに11~12歳頃に1回接種し追加免疫を獲得しています。抗体は約10年で効果が低下するため、その後は10年ごとの追加接種が望ましいとされています。しかしながら、1968年以前は破傷風は定期接種項目に含まれておらず、実際に破傷風抗体保有率の調査では1968年以後に生まれた人の抗体保有率が90%以上であるのに対し、1968年以前に生まれた人は30%以下と劇的に低下しています6)。破傷風患者が中高年に多いのは、このためでもあります。
海外渡航の有無に関わらず、20歳を過ぎたら予防接種を受けた方がよいと思われますが、海外への渡航や勤務の予定がある方は渡航前にぜひ受けることをお勧めします。また、土木作業員や工場勤務、動物を扱う職種、野外活動の機会が多いバイク愛好者など、創傷が生じる可能性の高い人にもお勧めします。
予防接種スケジュール
- 20代前半位までは免疫がありますので、接種は不要です。
- 20~40歳台で、子供のころにDPTワクチンを含めた破傷風のワクチンを接種したことがある方は1回の接種でOKです。
- 50歳以上の方や破傷風やDPTワクチン接種の既往(記憶も)がない方は、計2回+追加投与(3回目)の接種が必要です。
2回目の接種は初回から4~8週あけて行います。
3回目は初回接種から6~18ヶ月の間に接種を行います。
以降は10年毎に接種することにより十分な免疫力を保持することができます。
海外に行かれる方は、3回目の接種は渡航に間に合わないと思われますが、2回の接種でもある程度の免疫力がつき、3~4年は持ちます。
3回目の追加投与を行うとさらに強固な免疫力を得ることができ、30年ほど免疫力が続きます。帰国後もしくは現地にて受けることをお勧めします。
免疫は比較的早く獲得され、2回目接種後4~5日ほどで効果がでます。
まとめると下の表のようになります。
副反応
主な副反応としては、発熱、悪寒、頭痛、倦怠感、下痢、めまい、関節痛、注射部位の発赤、腫脹、痛みなどがあります。
費用
自費の場合 | お問合せください |
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外傷受傷後の発症予防
国内で問題になるのは、外傷を受けた場合です。外傷を受けたときの状況によって対応が変わってきます。実際に推奨されている創傷の破傷風対策を示します。
破傷風トキソイドは、最終接種から10年以内は破傷風を予防する効果が保持されますが、汚染創が生じた場合は抗体を破傷風治療可能レベルまで上げる必要があるため、最終接種より5年以内というのを指標としています。
ただし、清潔な傷に対して破傷風の予防目的で接種する破傷風トキソイドは現在日本では場合によって保険外診療、つまり全額自己負担となることもあります。清潔な傷と汚染創の違いは以下のようにまとめられています。